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[む:村上春樹]村上春樹 / 海辺のカフカ


 村上春樹の作品はあまり多く読んだ事がないのですが、この『海辺のカフカ』は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と並んで面白いと思いました。

 いくらメタファーとはいえ、魚や蛭が空から降ってきたり、ネコと会話したり、戦時中の兵士が出てくるなど超現実的な出来事が次々と起きて、わけ分からないんですが、違和感なく読め、面白いのです。童話を読んでいるような感覚でしょうか。

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』同様、二つの一見全く異なるストーリーが交互に展開し、やがてそれが結び付く手法も、推理小説を読んでいるようで、時間を忘れ「次は? 次は?」とページを進めたくなります。

 登場人物のキャラクター設定も魅力の一つです。15歳の田村カフカ、図書館の佐伯さんと大島さん、記憶と読み書きの能力を失ったナカタさんと、ナカタさんと同行する星野さん……その他、ジョニー・ウォーカーやカーネル・サンダースまで出てきて、「世界でいちばんタフな少年」を目指す「僕」と一緒に、、、否、ナカタさんと一緒に不思議の旅に出ているような楽しさを味わうことができました。

 ギリシア悲劇と日本の古典文学を下敷きに書かれていますが、それらの文学が未読であっても十分に楽しめます。むしろ、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の後に読むと味わい深く感じられるかもしれません。

 村上春樹は、間もなく映画化される『ノルウェイの森』を最初に読んで苦手意識があったのですが、これはすごく良かったです。

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